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17 風流深川唄 川口松太郎著 - 2004.11.17 Wed

 そうとは知らずに読んだのですが、なんとこれ、第一回直木賞受賞作品なのです。受賞したのは昭和十年、選考委員に、大佛次郎・菊池寛・久米正雄・小島政二郎・佐佐木茂索・白井喬二・三上於菟吉・吉川英治の名前が挙がっています。直木賞、芥川賞ともに、同じ年に文藝春秋社によって設けられました。昭和九年、四十三歳で亡くなった直木三十五氏と親交の深かった菊池寛氏が画策したもので、当時は同社が両賞を担っていたのですが、のちに財団法人日本文学振興会がこれを引き継ぎ、現在に至っているとのことです。
 さて、この作品、文句なしに楽しむことができました。時代は人力車が使われていたころ、ところは東京深川。深川小町と言われた老舗料亭の娘と使用人である料理人、しっかり者の娘に商売を預けほとんど隠居気分の父親、気風のいい新内の師匠。新しい時代の中で、老舗や伝統を守るという名のもとにやりとりされる人々の思惑。家や伝統、そしてその中に生きる個としてのヒトの幸せ。すべてがうまくいくときには丸く収まっているものの、往々にして時代の節目などにあって、それが両立されないこともあり、さてそこで作者はどうケリをつけるのか・・・。
 この物語を、とある有名な映画になぞらえて、「明治版○○」と言ってしまいたいのは山々なのですが、それを言ってしまっては結末がわかってしまいます。でも、その映画がヒットしたごとく、この作品のエンディングも、なかなかすがすがしく、これっきゃないかと思わせるような、世知をも納得させてしまうような筆運びでありました。

新潮文庫  読んだ時期:2002.06  2002.06.19記
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