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29  リヴィエラを撃て 村 薫 著 - 2004.11.18 Thu

 東京、ロンドン、ベルファストを舞台に繰り広げられる諜報ものではあるが、ヒーロー・ヒロインは不在。スパイが登場し、スパイが語られてはいても、それがテーマになっているわけでもない。物語の背景となるのは、文化大革命直後の中国と、その中国との国交を巡って繰り広げられる日・米・英それぞれの国内における利権がらみの権力闘争。そしてもうひとつ。北アイルランドを中心として描かれるテロリストたち。主たる舞台を提供することになる英国は、雪や雨、靄の立ち込める寒々としたブルーグレーに彩られ、登場人物たちのキャラクラーを、戯画的に浮き上がらせる。北アイルランドのテロリストを父に持つひとりの青年を中心に、同じ組織(IRA)の古参の男、イギリスMI5、MI6の情報部の男たち、同じくイギリス警察、あるいはアメリカCIA、中国の女スパイ、世界にその名を轟かせた名ピアニスト、などなどが、「リヴィエラ」というコードネームを持つ謎の東洋人を巡って、歴史の闇部に足を踏み入れる。
 物語を展開させるキーとなるのは、一連の事件に脇役的に関わった元イギリス警察のひとりの男の手紙。そして、最後を締めるのは、その手紙の宛先でもある、ひとりの日本人男性だった。村 薫の他の作品にも用いられているが、書簡を効果的に使った作品のひとつだ。その書簡も含めて、やりきれない哀切感が、色調、音階、寒気となって、五感を押し包んでゆく。彼女の作品の多くに登場する、主とした登場人物たちは、色白で長身痩躯な美丈夫として描かれるが、植物的ともとれるようなその美しささえも、作品の通奏低音として奏でられるストーリーの重さ、人間存在の悲しさを際立たせているようだ。
 とても大きなスケールで描かれた作品で、人間であることにどうしようもない溜息を漏らしつつも、それでも思わず人たる人を抱きしめたくなるような素敵な物語。

新潮社 読んだ時期:2004.07 2004.05.01記
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