topimage

2017-08

36 アムリタ 吉本ばなな 著 - 2005.05.15 Sun

 はじめてのばなな体験である。文庫本上下2巻、それにしても読み終えるのに時間がかかった。読み進むにつれ、好きと嫌いが反復する。辟易としながらも納得し、頷いたかと思えば反発心も湧き起こる。これまた不可思議な世界だった。

 若さにしか内在しえない過剰なまでの感性。感じて感じて感じまくることをまっすぐに描いているから、時として読んでいることに疲れてしまう。それでも、共感せざるをえないフレーズに必ずぶつかる。気がつくと、作者と共振しているのだ。感じるということの普遍性を、強く意識させられた作品である。

 人の思いは決して定まらない。定まるものだと思い始めたら、それが歳をとるということ。本当の老化、固化の始まり。フリーズしちゃいけないんだ。どんなにきつくても新陳代謝した方がいい。朝起きて、再び選び直す。自分の「好き」が何かということ、人との関係、ものとの関係。そしてたとえノンの答えが出たとしても、澱み腐ってしまうことよりずっといいと思う。そう思えることが、何よりも若さの証明なのかも知れない。

 さまざまな風景描写=心象描写があって、その過剰ぶりに疲れてしまうことで、自分の年齢を逆照射されたようなところもあるのだけれど、そういう部分について面白い見解を聞いた。
 つまり、コトバが物語に奉仕しない書き方を敢えてしているのだと。物語に貢献しないコトバを連ねて、物語を紡ぐ。そこに胡散臭さ、鬱陶しさを感じるか、あるいは魅力を感じるかは読者それぞれにもよるだろう。

 ここに抽出したいフレーズも山ほどあった。作者の思いがギッシリと詰まった作品であるだけに、この年齢の私にさえ警句になるような、あるいはハッとさせられるような鋭いものが随所に描かれている。冗漫すぎるほどの文章の中に、それらが散りばめられているものだから、読んでいるこちらとしては、少しも気を抜けない。

 この作品、果たして好きなのか嫌いなのか、実は読み終えた今もよくわからない。しかし、これだけは言える。登場人物のすべてが、この上なく魅力的な人たちであると言うこと。子供も大人も、男も女も、素敵に生きている人たちであるということだ。
関連記事
スポンサーサイト

● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://knno.blog38.fc2.com/tb.php/43-1ed840bc
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

37 くっすん大黒 町田 康 著 «  | BLOG TOP |  » 35 グランド・フィナーレ 阿部和重 著

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

最近の記事

カテゴリー

最近のコメント

月別アーカイブ

ブログ内検索

****

?Count Down!

近ごろの枕べ

Powered By ソーシャルライブラリー

プロフィール

nono

Author:nono

リンク

このブログをリンクに追加する

最近のトラックバック