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41 シュンポシオン 倉橋由美子 著 - 2005.07.17 Sun

 タイトルとなっている「シュンポシオン」とは、シンポジウム(Symposium)の語源となったギリシア語で、古代ギリシア人たちが、床に寝そべり、酒を酌み交わしながら談笑を楽しんだことを意味するらしい。

 《どこでもない場所、いつでもない時》を書く倉橋作品だが、一応この作品は、21世紀になって10年ほど経たころ、という時代設定のようだ。手元にある文庫の印刷年が1988年となっているから、書かれたのは更に遡ることを考えれば、20年以上先を予見しての作品と言えるだろう。

 ことばが美しい。精緻で密度の高い表現、詩的で鋭利で馥郁たる香気が匂い立つ。無駄も無理もなく、文字通り、大舟に乗った気分で、その文章世界に身を委ねることができる。この安心感はたまらなく嬉しい。

 それから、深く、高く、屹立する教養。たとえば、日本の古典世界から古代へ、詩歌の世界。あるいは古代中国。そして古代ヨーロッパへ。美酒・美食、そして高次なところで繰り広げられる会話。

 小説とは、対峙するAとBがあり、その対峙からさらにCという局面が開かれる・・・そういう世界であると思っていた。ほとんどの小説が、そうやって展開していくものと思っていた。

 けれど、この『シュンポシオン』における会話(対話)は、Aに対してBが頷き、Bに対してAが同調し、といった形で進んでいく。同じ項を、少しずつずらしながら積み重ねていくような感じだ。弁証法的なつっかえ棒なしで積み重ねられていく図は、まるで賽の河原の石積みにも似ている。

 非日常的な酔宴の中で交わされるこうした会話は、意味も意義も不問なところにあっても不思議はないのかもしれないと思ったりもする。

 お馴染み桂子さんが、凛とした雰囲気そのままに「おばあさま」となって登場し、作品の芯となっていることもまた嬉しかった。

 それにしても、魅せられながらも、笑わしてくれるね、倉橋さん。あなたのユーモアには、やっぱり降参するきゃない。
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