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2017-08

Op.ローズダスト - 2010.07.04 Sun

福井晴敏著『Op.ローズダスト』を2度読む。
1度目は力づくで端々まで。2度目はのんびりと飛ばし読みしながらなのに、めちゃくちゃ時間がかかった。

はじめに読んだとき、『論』が多いなと感じた。『説』と言い換えてもいい。
福井さんの著作の中で、大作『亡国のイージス』ほか、《ダイス》を描いた短編がいくつかある。
《ダイス》という、防衛庁情報局下にある極秘の諜報機関。もちろん血沸き肉踊るストーリーも面白いのだが、そこに描かれる登場人物たちが織り成す悲喜こもごもに、より惹かれてしまうのだろう。それは、短編の中でより際立っているように記憶する。

さて、この『Op.ローズダスト』は、とんでもなく言葉の多い作品である。どのページにもギッシリと言葉が詰まっていて(そう、まさにスシ詰め状態)、だからなかなか読み進めることができない。流れない。滞る。

たとえば、高村薫の作品にも、うわっと思わせるほど濃密な描写が多かったりもするのだが、それでも高村作品には流れがあって、なんとか最後まで流れに乗ることができるのだが・・・。

このローズダストはそうはいかない。生真面目に読もうとすればするほど、いつまでたっても加速することができずに、渦の中に滞留しているような息苦しさがあった。風景、地理、建造物などの描写なども生易しいものではないのだが、まあそれは置いておく。

問題は、『論』と感じ、『説』と感じた部分。
1度目は、すべてに一応目は通した。2度目は、申し訳ないが流し読み、もしくは飛ばし読み。
このあたりの『論』や『説』は、この作品のみに登場するものではなく、『ローレライ』から始まり、一連のダイスものには多かれ少なかれ描かれてはいるのだが、どうも私には、もうひとつわからないのだ。論理そのものがわからないと言うよりも、ここまで字数を割き、様々な形をとりながら繰り返すだけのことがあるんだろうか、と。

だって、結局はローズダストだよ?

そして言葉。『古い言葉』と『新しい言葉』。
既成概念 vs 新しい視点。あるいはアウフヘーベンへの提言?

それとも、こうやって弁証法的止揚を敢えて描かずにはおれないほど、時代は逆行していると、少なくとも福井さんは言っているのだろうか。

話は逸れるが、影の存在であるダイスやSOFをすら、この作品はかなり突き放した描き方をしているのだが、ふと、これって、忍びの世界とかスパイ大作戦とか必殺仕置き人的世界とも通じるエンターテイメントなのかもしれんぞーと、途中で思えてきた。必殺シリーズの痛快さは、たとえそれがコケオドシ的なものであっても、やっぱり面白く見てしまう。それに通じるものがきっとある。

そこにたくさんの、実にたくさんの『論』や『説』をからませ、パターンナイズされているとはわかっちゃいても知らず知らずのうちに惹かれてしまう魅力的な登場人物。決して読みやすい作品ではないけれど、それでも意地を張ってでも2度も読まされてしまった何かは、確かにある。



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